2012年6月14日木曜日

タカノの宮崎マンゴー・パフェ!Woody Allen ミッドナイト・イン・パリ


先日、久しぶりにウッディー・アレンWoody Allenの映画を観たくなり、仕事が早めに終わったので新宿に行きました。「ミッドナイト・イン・パリ」Midnight in Paris最終回にはまだ時間があったので、ディスク・ユニオンにもちょっと顔出して、さらにタカノのフルーツ・パーラーに寄り道。メニューを開くと、彩りも鮮やかなフルーツの写真が並び、ちょっと迷いましたが、旬の「宮崎マンゴ-・パフェ」に決めました。これは、肉厚な国産のマンゴーをたっぷりと使っているので、なかなかの豪華パフェです。年に数回のタコの贅沢タイム。これがテレビで見たことのある、「太陽のたまご」とか言う種類かな?繊維など全く感じさせない、滑らかな舌触り!濃厚な天然の甘さです。完熟!マンゴー好きのタコにはたまりません!フルーツはどれも身体に良いのですが、マンゴーは特にビタミンA・B・C他βカロテン、葉酸が豊富といわれます。パフェの下の方にはタコの好きなアイスクリームがこれまたたっぷり入ってます。

さて、今上映中の「テルマエ・ロマエ」もそうですが、「ミッドナイト・イン・パリ」もタイムスリップものです。とは言え、ゴールデングローブ(コメディー・ミュージカル部門)とアカデミー賞の脚本賞を受賞しているだけあって、ひと味洗練されています。絵はがきか観光ガイドに見るようなコテコテのパリの名所の風景を、それにピッタリの音楽と共に流れるように延々と映し出す所から始まるのですが、これが悪くない。というか、楽しいです。ウッディー・アレンお得意のニューヨークが舞台の作品同様、最初からなにかウキウキした気分にさせてくれます。作家志望の主人公が憧れる、1920年代、レ・ザネ・フォルLes Annees Follesと呼ばれた熱狂の時代のパリで、フィッツジェラルド夫妻やヘミングウェイ、ピカソ等と戯れ、ガートルード・スタインGertrude Steinに原稿を批評してもらう。更に、華やかなりしベルエポックBelle Epoqueまでタイムスリップし、ムーランルージュではフレンチカンカンを楽しむロートレックToulouse-Lautrec、ゴーギャンGauguinとまで知り合いに・・・。面倒なしがらみのある現実世界と、憧れの時代を行き来する主人公の人間関係がおもしろかったです。優柔不断で、自他共に認める表面的な人生に悩むナイーブな主人公・ギルに対し、自他共に認める「文化人」のポールの厚顔な知ったかぶりや現実主義の婚約者の突っ込みに、ウッディー・アレンのユーモラスな風刺が生きています。

ロマンポランスキーRoman Polanskiの「戦場のピアニストThe Pianist」でアカデミー主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブローディーAdrien Brodyが、若きダリSalvador Dali役で出てきたのも似ていてとてもおかしかったです。キャシー・ベイツCathy Batesもガートルード・スタインにぴったりでした。この人は、何を演じてもはまります。サルコジの奥様、カーラ・ブルーニCarla Bruniも撮影当時はまだ大統領夫人だったと思われますが、さりげないジーンズ姿がシックでした。エディット・ピアフを演じてフランス人としては史上2人目のアカデミー主演女優賞を獲得したマリオン・コティヤールMarion Cotillardは、この映画でもアーティスト達のミューズ役を活き活きと演じていました。彼女には、なにかノスタルジアを呼び起こすような雰囲気があります。そして、主演のオーウェン・ウィルソンOwen Wilsonも軽いけど繊細な役にはまっていました。なんとも、ウッディー・アレンが少し乗り移ったような感じでした。昔なら、ウッディー・アレン本人が演じた役だろうな、と思って見ていたのですが、キャスティングがとてもいいです。

個性的な俳優達が、個性的な歴史上の有名人を楽しみながらもしっかりと演じているのが見どころです。あれは、ジョセフィン・ベーカーかな、とか、おっ、コール・ポーター(笑)、モジリアーニのことを言ってるのだな、などと思いながら観る楽しさがあります。

デイスク・ユニオンではたまたまロシア盤ユーロデイスクの中古レコードでシベリウスSibeliusのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン演奏はダヴィッド・オイストラフDavid Fiodorovich Oistrakh)を買いました。この曲は出だしが特に大切で、ここを聴いていると静かな白夜のフィヨルドを船上から観ているイメージが眼に浮かぶのです。また北欧に行ってみたいなぁと思います。オイストラフの演奏はこの曲にピッタリです。やはり北国の作曲家の曲には北国の演奏家がいい。オイストラフはタコの好きなヴァイオリニストの一人で、これはすばらしい演奏です。
美味しい物をいただき、いい映画を鑑賞して、気に入った音楽を聴く。タコうっとりの、満足できる夜でした。

2012年6月6日水曜日

タコの骨壺 加山雄三さんの「アトリエde加山」


 タコは昨日6月5日のBSフジテレビの番組「アトリエde加山」陶芸特集に出演しました。加山雄三さんと言えば、ヨットのイメージがありますが、多趣味でいらして、この番組では「エレキ」、「鉄道模型」など、毎回異なる分野にフォーカスを当てているようです。加山さんを中心に、色々なマニアやコレクターの方も登場して、様々な趣味の世界を楽しく紹介しています。タコが出演した回は、「現代陶芸」がテーマでした。陶芸ブームの興りについて解説するように、との依頼でしたので、段階を分けてお話ししました。

 1930年からはじまる陶芸ブーム。そのさきがけは荒川豊蔵による志野を中心とした美濃陶の発見でした。発掘ブームという方がぴったりかもしれませんが、全国から古陶磁器マニアが押し寄せて一大ブームが起きました。やきものの再認識がなされたと言えます。その後、永仁の壺贋作事件が世を騒がせました。これは鎌倉時代の永仁年間(1292~1298)の制作であることが壺に彫られた、貴重な作品ということで「重要文化財」に指定されました。ところがその後、その壺(正確には瓶子)は贋作であるということが判明して、作った人間と、重要文化財に指定したことをめぐって大きなスキャンダル問題に発展しました。ここで一番のポイントは専門家をも欺いて、美術品の一ジャンルである古陶磁器とされるくほどの、しかも重要文化財に指定されるほどの陶芸の技術が現代にもあるんだという、いわば驚きと技量への再認識がなされたわけです。そこでひとつのブームになった。その後、高度成長時代のインフレ経済とバブル経済のもとで、いわば不動産や株式投資と同じように、有名な作家の焼きものを買い占める投機が行われました。その高騰はあまり有名でない陶芸家の作品にまで及びました。その結果としてのバブル崩壊。そして団塊の世代がリタイアした現在、新たな趣味として最適となったのが現在の「陶芸」ブームの流れです。元首相の細川護煕さんが陶芸に打ち込んでいることも、そうした流れを大きくしたかも知れません。 一応そんな話をしまして、最後に出したのが、自分用につくった骨壺です。平成11年に作ったことが蓋の裏に書かれておりますから、今からほぼ13年前になります。

 タコが学院長をしている日本骨董学院ではそのころ陶芸教室も開催していました。知人の陶芸家に講師として来てもらい、みなさんを指導してもらいました。いくつか壺とか小物を作っていると、何か大きなものにチャレンジしてみたいと思うようになり、自分の骨壺を作ろうという発想になりました。人間はいつ死ぬかわからないということもあったと思います。ただ一般的に売られている、ホーローの白い冷たい骨壺にだけは入りたくないなぁと思っていました。
 そこでいろいろデザインを考えました。真ん中には阿弥陀如来のシンボルであるキリークという梵字を入れ、周辺には般若心経を全文彫り込むことにしました。
一日かかって壺自体を作り、心を込めて経文を彫り込むのにもまた一日。乾燥させ、登り窯を持つ知人の陶芸家に渡しました。
 そうして待つこと3週間、やっとできてきました。信楽の土と赤松の薪による登り窯で焼成したので、ほぼ考えた通りに、ちょうどいい感じにできあがりました。


BSフジ「アトリエde加山」 : http://www.bsfuji.tv/top/pub/atelier.html
日本骨董学院公式サイト: http://www.kottou-gakuin.com/

古代史の故郷・近江の旅



 5月末に、日本骨董学院創立18周年を記念して、会員の皆さんと旅行に行きました。壬申の乱を中心とする古代史の舞台、近江京と668年天智天皇創建の崇福寺を訪ねました。近江にありながら奈良十大寺の一つと数えられた重要な史跡です。平安時代の落雷で焼失して礎石だけになっている三重塔跡からは、国宝に指定された緑色のガラスの舎利容器が出土しています。今は木立に囲まれたこの静かな寺跡に立ち、古代からの歴史にしばし思いを馳せました。そばには、百穴古墳群があったり、鎌倉時代の阿弥陀様の石彫大仏があったりで、みどころの多い場所でした。決して平坦な道のりではないので、ちょっとしたハイキングなみの運動量でした。御蔭でお腹も空いたところで、夕食を食べに長浜へ。名物・近江牛のステーキやしゃぶしゃぶに舌鼓を打ちました。

向源寺
 翌日は、向源寺の国宝十一面観音を拝観しました。本来なら、限られた公開日に、薄暗い御堂の奥深くに浮かび上がる御姿をそっと見上げて拝むにふさわしい観音様です。しかし、国宝に指定されたことで、御傍から拝見させていただけるようになっています。後ろまでまわってじっくり鑑賞させていただくことができます。本当に素晴らしい観音様です。様々な時代の波を超えて、大変な思いで守り抜かれただけのことはあります。今こうしてゆっくりと拝顔できることを、有り難く、幸せに感じました。ご住職の丁寧な解説でこの観音様の時代背景、見どころがわかり、皆さんその異国情緒あふれるお顔の美しさに見とれていました。今回は、7歳のお嬢ちゃまも参加してましたが、「スゴイ!」と素直に感動していたのも印象的です。


  百済寺の鐘楼では、皆さん思い思いに願いを込めて鐘を撞きました。

百済寺からの素晴らしい眺望
    「天下遠望の名園」とされる庭園本坊の大きな池の前に座って、のんびりと庭園の美しさを楽しみました。

大きな池には、見事な鯉がたくさん!
 西明寺では、自分の干支の十二神将を拝むと御利益があるとのこと。係の方の細部にまで及ぶ説明が実におもしろく、皆さんとても楽しまれたようです。どこも清々しい新緑が広がり、心が洗われるような気分でした。お天気にも恵まれた、爽やかな5月の旅でした。


日本骨董学院公式サイト: http://www.kottou-gakuin.com/