2014年9月17日水曜日

「東京蛍堂」 浅草で大正・昭和のレミニッセンスに浸る

オーナー夫人手書きのガラスのサイン
  久しぶりに浅草に行って来ました。祭日で仲見世通りは大賑わいです。
六区の方まで足をのばし、通り沿いに掲げられた浅草から世に出たコメディアン達の写真を眺めながら散歩。この通りに面して、ちょうど建物と建物の間に、古物商店「東京蛍堂」があります。
この路地の奥に「蛍堂」が・・・
  ちょっと奥まっているので、ともすれば見落としてしまいそうですが、路地の入口の「モボ・モガ御用達の店」という看板と着物を纏ったマネキンが目印です。
 
  表通りからは店の中が蔭になって見通せませんが、ほんのりと電燈がいくつか灯っています。店名の由来とは関係ないのかもしれませんが、まるで蛍のような光につられてこの路地の突き当りまで進むと、まるでレースのようなもみじの葉の間から、「蛍堂」の可愛い照明が迎えてくれます。

  ここから先は、大正・昭和ロマンのラビリンスです。いくつもの小部屋が上へ下へと続きます。ここではとてもご紹介しきれないほど、ありとあらゆる種類の商品が詰まっています。

  どこも、キチンと分類され、見えないところまで細心の注意を払ってセンス良くディスプレイされているのですが、堅苦しさは全くありません。それも、ここのオーナーご夫妻の温かいお人柄のせいだと思います。

ジェントルマンのクロゼット

  美男美女の素敵なカップルですが、大変な働き者です。驚いたことに、この店の改装の大部分をご自分達の手でやってのけたそうです。完成度の高さにも関心させられます。誰の真似でもない、完全な「蛍堂」ワールドを作り出しています。
実物はもっと色のきれいなタイル張りです。

  上の写真は、昔懐かしいタバコ屋さんの入口に使われていたものだそうです。緑の色合いが美しいタイルがまだ完ぺきに残っていて、その上は本来タバコがディスプレーされ、カウンターの上にはガラス窓があった筈です。僕が子供の頃には、この奥におばあちゃんが座って店番をしていて、客が来るとガラス窓を開けて応対する、というのがタバコ屋さんの定番スタイルでした。今はもうほとんど見かけなくなりましたが、このカウンターももう少しで取り壊されるところをオーナー夫妻が救い出したそうです。上部のガラスケースは他のものを上手に組み合わせて素敵な演出をしています。電話機一つとってもこの店にピッタリの雰囲気のものをさりげなく配置しているので、全てが違和感なく溶け合っています。
ベスト姿がさまになる、ダンディーな店主

  ここまで築き上げるのは大変であったと思いますが、本当に好きなことを、情熱を持ってなさっているからこそ実現できたのでしょう。ご夫婦で夢をかなえて行く楽しさが、このお店にワクワク感をもたらしているのだと思います。実に楽しいお店です。浅草にいらしたら、是非訪ねてみてください。