2018年1月1日月曜日

2018年戌年ですが・・・


開けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
猫の大福も皆様のご健康とご多幸をお祈りしております。

平成30年元日

2017年8月20日日曜日

ハインリッヒ2世夫妻の大理石棺

 前回の投稿では、僕が子供の頃から憧れていたドイツのバンベルク大聖堂の騎士像に、念願かなって4年前に会いに行った時のことを書きました。その騎士像が見守る神聖ローマ帝国皇帝ハインリッヒ2世夫妻の大理石棺についても書かずにはいられません。

バンベルク大聖堂の中で騎士像に見守られるハインリッヒ2世夫妻の大理石漢棺
  この見事な棺の彫刻は、僕の好きな彫刻家リーメンシュナイダーの手によるものです。今までに観た彼の作品の大半は木彫作品でしたが、この大理石の棺は彼の代表作と言える、ずば抜けて素晴らしい仕上がりでした。



 さて、この時のために、日本から持ってきた重くて嵩張るスワロフスキーの双眼鏡EL10×42 6.3°が威力を発揮してくれました。国内外の名だたるメーカーの様々な双眼鏡を試した末、これに勝る視野の広さ、明るさ、解像度のものはなく、おそらく世界最高峰の双眼鏡だと思い購入したものです。この双眼鏡で騎士像や皇帝夫妻の棺はもちろん、柱の彫刻群を詳細に観察、鑑賞することができました。


  祭壇の上から観たり、近くから観たり、双眼鏡で観たり、時間の過ぎるのも忘れるほどの見事なDom内陣です。 


Dom内陣のパイプオルガン
  このロマネスク大聖堂建立年代とバンベルク騎士像の成立、リーメンシュナイダーの活躍年代はそれぞれがかけ離れて統一性を欠きますが、長い年代を経てきた宗教と美術と歴史がそれぞれをバランスよく結び付けてきたのでしょう。


  もちろん初めにハインリッヒ2世がDOMを建設した後亡くなり、当時の棺に納められ、後に名のあるマイスター彫刻家が騎士像を製作して棺を守る柱の位置に据えられたと考えられます。記録によればハインリッヒ2世は973年生まれで、1024年に亡くなっています。騎士像はほぼ1200年代、13世紀の制作と考えられており、またリーメンシュナイダーは1460年頃の生まれで、1531年に亡くなっています。

  棺の制作年代も記録に残っており、1499年から1513年の間とされています。神聖ローマ帝国国王夫妻の遺骸は新しい棺に入れ替えられ、長い年代を経てこのDOMの姿が形成されてきたことがわかります。そこには多くの信者、国王、様々な寄進者、製作者の想いが重なっているのです。

2017年8月7日月曜日

バンベルク騎士像を観て

バンベルク騎士像
 4年前、人生の区切りというと大げさですが、行ける時に行きたいところに行って観たいものを思い切り観たい、と35日間自由にヨーロッパを旅しました。当時は1ユーロ100円という円高だったのも幸いしました。
 最も行きたかったドイツに最初に行き、かつての東ドイツだったベルリンを気ままに歩き回りました。
 帰国後、時折この旅の思い出をブログに綴っていたのですが、やがて日常の仕事や雑務に追われ、更新することも少なくなってしまいました。昨今のテロで、ヨーロッパもなかなか行きにくくなり、あの時行っておいて良かった、と思うこの頃です。エジプトについても同じです。そんな気持ちで当時の写真を整理している内に、また旅の楽しさが蘇ってきました。


ブランデンブルグ門
 僕が小学校3年か4年だった頃、父がドイツ人からいただいた蔵書に、ドイツの戦前の写真集がありました。ひげ文字でなにやら書かれていて、もちろん全く読めませんでしたが、古き良き時代のドイツの雰囲気がとても魅力的で、よくその大好きな本を手に取っては見ていたものです。子供の僕には未知のドイツやベルリンの街並みや、ローテンブルクの街の様子が写っていました。美術についてもたくさんの作品を紹介していて、例えばデューラーの「騎士と死と悪魔」などの写真には、なんとも不思議な怖い印象を受けました。


 その後日本で唯一、高校でドイツ語を専修として教えてくれる独協高校に学び、大学もドイツ語で受験し、ドイツ文学科に進み、哲学、ドイツ文学、音楽に親しんだ経緯を考えれば、いかにその本の影響が大きかったかがわかります。普段子供が目にすることのないような多くの美術品をその本を通して眺めていたことなども、今の仕事にもつながっているようです。バンベルク騎士像に出会ったのも、この本でした。馬に乗ったすがすがしく、美しい騎士像は小学生だった僕を魅了しました。

 その憧れのバンベルク騎士像に会うために、僕はようやく中部ドイツの中世都市バンベルクにやってきました。
日本を旅立って早1か月になろうとする頃、11月末のミュンヘンで楽しみにしていたクリスマス市に足を運び、ダッハウの強制収容所跡にも行ってから、列車でバンベルグに向かいました。
 着いたのは雨の夜。紅葉を過ぎたバンベルクにも、冬に入ろうとするドイツの寒さが訪れつつありました。翌日、ホテルからレグニッツ川に沿いに散歩しながら、聖堂(DOM)の見える方向に進みました。やがて入り組んだ城下町に入り、骨董店やクリスマス用品を売る店をのぞいたりしながら曲がりくねった小高い丘をのぼること15分、急に大きな広場に出ました。はっと見上げると、重厚なドームが聳えていました。すり減った重々しい石の階段を上がりDOMの扉を押しました。時代の重みを感じさせる、樫のようなどっしりとした木でできた巨大な扉です。実際、重量もかなりあり、力いっぱい押してやっと開けたものです。中は暗く、通路の左サイドにはこのDOMの建立にかかわった人たちの像らしき石像が私を見下ろしています。しばらく歩くと、礼拝堂の前にでました。背景のアーチ形の窓から後光のように光が降り注いでいます。
 僕はロマネスク様式の建築が好きですから、あーすばらしいなあ・・と感心しながら眺めていますと、僕の真上から見下ろすように馬に乗った騎士像が突然視界に入り、ドキッとしました。子供のころに飽きもせず見ていた大好きなバンベルク騎士像!とうとう実物に会えた喜びは、頭上からいきなり襲ってきました。

階段横、向かって右の囲いの中にハインリッヒ2世夫妻の棺があります。

 この像はバンベルクの大聖堂(DOM)の礼拝堂入口すぐの左上にあり、神聖ローマ帝国皇帝ハインリッヒ2世夫妻の棺を真下に見守る形で、柱の中間に配置されています。棺を柱の真ん中から見守る感じです。実際に訪れてみないと、そのあたりの様子はわからないものですね。荘厳なロマネスク様式の大聖堂の中には、老人夫婦と私しかいませんでした。とても静かです。小学生だった僕には遥か彼方の存在だったあの騎士像と、こうして対面できる日が来るとは・・・。中世ドイツの騎士の持つ高貴で誇り高き姿に、改めて感動しました。

2016年8月27日土曜日

中国陶磁器 特別講座 「元染付」

中国・元青花

その歴史と見方のポイント

特別2時間講座
世界のオークションで高値更新の中国が誇る最高の磁器

元朝(12711368)は、モンゴル族によって建てられた中国の王朝です。この時代、東西交流の活発化に伴う多民族文化の流入によって、様々な工芸品が生み出されました。なかでも、白磁に青い絵付けを施した「青花」は、その高い芸術性と後世への影響力から、美術史上極めて大きな意義を持っています。しかし元青花は、いつ頃どこで発生したのか、いまだに解明されておらず、謎が多い陶瓷器であることは、あまり知られていません。
そこで本講座では、繁栄を極めた元の歴史を軸として、さらに中国の最新の研究を踏まえた上で、景徳鎮に点在する生産地点やその管理体制など、元青花が生産された背景を把握します。そして、世界中の伝世品や出土資料を見ることで、多種多様な元青花に触れていきます。この機会に本講座を通じて、贋作の極めて多い元青花についての正しい理解を一層深めて頂きたいと思います。

日時: 2016918日(日曜日)午後630分開始 
     (830分終了予定)
場所: 京浜東北線 大井町駅下車・南口広場前
    LAVI ヤマダ電機奥のきゅりあん4
定員: 28名   
受講料: 2時間 5400円(税込)
お申込み:メール又は電話/FAXでお申し込みください。
電話/FAX:03-3387-8703 
     (ご氏名・電話番号をご明記/ご伝言ください。)



2016年5月25日水曜日

最近の猫の大福



 猫の大福がやってきて3年、もうすっかりここを我が家と思ってくれているようです。先日も講座の合間に原稿を書いている間、いつの間にか大ちゃんが椅子の上でうたた寝をしていました。

 手彫りの装飾が施された木製の古い貫禄ある椅子ですが、大ぶりな座面に貼られた革もほどよい感触になっていて座り心地がとても良いです。そこに冬は電気で暖かくなるクッションを置いてあげたら、それ以来すっかり大ちゃんのお気に入りの椅子になってしまいました。大ちゃんによく似合っています。
 このところ、椅子の前には骨董品の箱が積んであるのですが、そこになぜか手をついて寝ているのが、かわいくてつい写真を撮ってしまいました。



 大ちゃんは写真嫌いでカメラを向けるとわざと不幸そうな顔をしたり、ギャングみたいな柄の悪そうな顔をしてみたり、そっぽをむいたりしてしまうので、寝ている時がチャンスです。

 もうそろそ8歳になるのに、いつまでも赤ちゃんみたいにかわいい大ちゃんです。


2015年8月14日金曜日

「中国陶磁器の見方」

日本骨董学院 創立22周年記念
優雅な銀座会場と交通至便の中野サンプラザ会場

「中国陶磁の見方」

基礎編

  このたび日本骨董学院創立22周年記念といたしまして、念願の「中国陶磁器の見方」を開講することとなりました。講師には、私も在籍する東洋陶磁学会の会員で新進気鋭の中国陶磁研究家・新井崇之先生をお迎えします。
 新井崇之先生は明治大学博士課程、日本学術振興会特別研究員、史学会会員で、中国への国費留学生として、北京大学考古文博学院に2年半在籍し、その間中国各地の窯跡の発掘調査に携わるとともに、文献史学を基礎とし、さらに考古学、美術史学の手法を加えることで、中国陶磁史を研究されてきました。また自ら茶道や作陶を行い、陶磁器に対する理解に努めておられます若く真摯な研究者です。本講座では最新の中国本土の研究動向を踏まえながら、体系的かつ理論的に陶磁史を解説していただきます。広範囲で理解しにくい「中国陶磁器の見方」のポイントを楽しく学んでください。まさに中国経済の動向いかんでは今こそ勉強の最大のチャンスといえます。

◆ 下記内容の3回セットの講座です:   

第1回 皇帝の器の誕生 陶器と青磁 その黎明と発展
・ 陶器の時代(仰韶文化、龍山文化)から青磁の発生(灰釉陶器から原始青磁へ)
・ 南方青磁と北方青磁(越州窯、龍泉窯、南宋官窯、及び耀州窯、汝窯、鈞窯)について

第2回 単色釉磁の世界 モノカラーの美

・ 白磁の完成(邢州窯、定州窯)黒釉の茶器(建州窯、吉州窯)
・ 景徳鎮白磁(青白磁、枢府白磁、甜白)
・ 景徳鎮単色釉磁(紅釉、藍釉、緑釉、黄釉、黒釉)

第3回 青花と彩磁 絵を施した陶磁器

・ 絵を施した陶磁器(磁州窯、吉州窯、元代の景徳鎮窯)
・ 青花と彩瓷の系譜(明清期の景徳鎮陶磁) 宋代後の絵付けされた陶磁器について

◆ 日程と会場
下記の銀座(火曜午後2時から)、もしくは中野(日曜夜6時半から)の2つのコースからお選びください(一回90分の講座です):

銀座 火曜日コース 2:00p.m.開始
会場: ART FOR THOUGHT(カフェ・レストラン)
東京都中央区銀座8-10-4
和孝銀座8丁目ビル1F
営業時間:11:00-24:00
Tel/Fax:03-6228-5922

1回目 10月13日  2回目 11月10日  3回目 12月 8日
定員:25名(定員になり次第締め切ります。当日の直接参加はできません)

☆ 中野 祝日・日曜日コース 6:30p.m.開始
 会場: 中野サンプラザ
JR中野駅北口改札出て左正面徒歩1分 サンプラザ7Fにて受付

1回目 10月12日  2回目 11月 8日  3回目 12月 6日
定員:36名(定員になり次第締め切ります。当日の直接参加はできません)

◆ 参加費:
・ 各会場にての3回セット料金となります。
・ 日本骨董学院会員:15,000円(消費税込) 一般:18,000円(消費税込)
・ お申込みの皆様には銀行振込口座番号をお知らせいたします。

◆ お申込み方法:
電話・ファックス・メールn-kottou@js9.so-net.ne.jp または日本骨董学院 ホームページの連絡欄からアクセス願います。
・ 日本骨董学院 164-0001 東京都中野区中野4-11-1-507
・ 電話・ファックス:03-3387-8703(午後14時から18時までとなります) 
・ 必ずご名・連絡先・受講されたい会場名を記入・またはお伝えください。
・ ファックスおよびメールにてのお申込みにつきましては全日受け付けます。時間による受付順となりますのでご了承ください。(定休日は00曜日です)
・ 定員になり次第締め切らせていただきますので、お申し込みはお早めに!

◆ 今後、今回の参加者を優先的にご案内する応用編・上級編を予定しています。
   たのしい研修旅行も予定しています。ご期待ください!

日本骨董学院 




2014年10月20日月曜日

浅草の美味しい鰻屋さん 「鍋茶屋」

 少し前のことになりますが、前回の投稿に書いた浅草の「蛍堂」を訪ねた時に店主から教えていただいた鰻屋さんでお昼をいただきました。 浅草にお店を構えているだけあって、このあたりの美味しいお店をたくさんご存じです。仲見世界隈は平日でも観光客で賑わい、昼時はどこもすぐ満員になりますから、ちょっと喧噪から外れた「鍋茶屋」で鰻をいただくことにしました。


 なるほど、教えていただかないとちょっとわかりにくい場所です。繁華街ではないので、浅草に遊びに行って偶然とおりかかる確率は低そうです。ちょっと早め着いて時間をつぶし、開店と同時に一番乗りです。 「蛍堂」の店主から聞いていた通り、掃除の行き届いた店内は小ざっぱりとしていて気持ちいいです。次々と客が来店し、あっという間に小さな店内は満席になりました。品書きは色々ありますが、今回は初めてなので、3種類あるランチメニューからうな丼を選びました。「注文を受けてから作るので、時間がかかります」と注意書きが添えられています。どのくらいまつのかな~と楽しみにお茶をすすりました。


 そうして待つことなんと30分!本当に待つんだな~!でも、その甲斐はありました。本当に美味しかったです。ふんわりと蒸してから炭火で外側をカリッと焼いた関東風で、タレの味わいも申し分ありません。ちょっと小さいですが、ランチのうな丼はたったの1000円なので、文句はありません。デザートのフルーツまでついて、かなり頑張ってます。


 ランチメニューは、他に鳥丼、正肉・レバー・つくねの三色鳥丼もあり、おしんことお吸い物がついてどれも1000円です。鰻丼の美味しさから想像するに、どれもきっと美味に違いありません。時間に余裕のある時にまた行ってみたいです。できれば夜にでも行って、たっぷりとこの鰻を
堪能するのが夢です。

http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13043304/dtlrvwlst/5206640/