2012年7月26日木曜日

パイプの楽しみⅣ GERT HOLBEK・MEERSCHAUMなど

ホルベックのジュビリータイプのボウル上部分

美しいホルベック・ジュビリーのストレートグレイン

 これまで3回パイプについて書いてきました。特にGERT・HOLBEKのパイプの素晴らしさについて、昔に戻って書いてみました。世界から思わぬ多くの愛好者のアクセスをいただき、パイプの人気の高さに驚きました。そこで40年前に戻って、再度パイプへの情熱をみなさんと共有したいと思い書き続けています。

 そこで今回はステムが折れていたため修理に出していたANTIQUE・MEERSCHAUM(メシャム・海泡石)が仕上がってきましたので、このパイプについて書いてみたいと思います。
鷲がボウルをつかんだところをイメージした作行きです。ヤニの染みこみ方から推測すると、やはり100年ないしはそれ以上の時間が経過しているのではないかと思います。折れた原因は2年ほど前にこの作品を所有する骨董業者さんが興味を持つ人に見せたら、ステムを強く回したので、ステムがねじれて折れたということです。

 そこで折れる前から欲しがっていたいたタコのことを思い出して、特に安く譲ってくれたのです。そこで陶磁器の修復師としてタコが日ごろ敬愛する音楽好きのあの松田さんに頼んだのです。陶磁器の修復専門家ですので、パイプの修復は初めてで、しぶってましたがタコの熱意に負けて引き受けてくれました。条件は期間を設定しないことで、自由にやってもらいました。漆直しですから時間がかかる上に、付ける素材がはっきりわからないので試行錯誤で直すほかにやりようがないみたいです。でもこれ以上は期待できないというくらいに素晴らしく直りました。

 タコは現在、「パイプの楽しみⅠ」で紹介した1895年のホールマーク入りビリヤード型のMEERSCHAUMパイプと、Ⅱで掲載したハムレットに登場する「ヨリックの頭蓋骨を持つハムレットの手」のMEERSCHAUMパイプと、本日ご紹介する「鷲の手」のMEERSCHAUMパイプと「編み物をする娘」のMEERSCHAUMパイプの4点を持っています。すべてANTIQUEでヤニの染み込みが素晴らしく美しいものです。

 いつもメシャムのパイプ作品に感動するのは、過去の所有者がとても大切に使ってきたことです。とくにⅠのビリヤードのメシャムにそれを感じますし。型の入れ物に入ってますが保存が完璧で最高の状態です。おそらく手袋をして吸うか、セーム皮に包まれて吸われ続けたのだと思います。Ⅱの「ヨリックの頭蓋骨を持つハムレットの手」にも同じ思いをもちます。この作品はさらに細かい彫刻がなされ、完成度のきわめて高いものです。壊されずに残ったことが奇跡みたいなパイプです。先のこの「鷲の足」パイプのように、メシャムは壊れやすいやわらかい素材に細かい彫刻が施されているから、なおさら大切にあつかうことが重要なのです。

ビリヤード型メシャム・パイプとケース
ヨリックの頭蓋骨を持つハムレットの手・タールの染み込みが美しい。

細かい彫刻にタールの染み込みが素晴らしい「鷲の手」メシャム・パイプ

見事な金直し(マウスピースの下部)


2012年7月7日土曜日

長良川の絶品「鮎ランチ」

 今年の4月から中日新聞文化センターの岐阜教室で「楽しい骨董入門講座」を新たに担当しています。岐阜は室町守護職の土岐氏が治めていた歴史ある街です。岐阜城は町を見下ろす山城の代表のようなすばらしい城で、眺めは抜群。360度のパノラマで、濃尾平野はすべて見晴らすことができます。この城は戦国時代には、美濃を領有した土岐氏から斎藤道三の居城となり、さらに信長の手に落ちました。国盗り物語の舞台として有名です。その歴史の舞台に毎月1回行けるのは歴史好きのタコとしては非常に楽しみなのです。現在16名の生徒さんたちが通ってきてくれています。


岐阜・中日文化センターのクラスの皆様と
 岐阜は云わずと知れた「鮎」の名産地。、長良川の鵜飼いは全国的に有名で、おいしく食べさせてくれる店が何軒かあります。私は名古屋の同じく中日文化センター栄教室では7年前から講師をさせていただいてますので、昨年は足を伸ばして岐阜にやってきました。その折に見つけたお店が良かったので、また今年も寄らせてもらいました。「うお惣」というお店で、お父さんと息子さんがやっているお店です。(下記連絡先)


ランチ、とても素晴らしいです。写真でも十分わかりますよね~。6月7日でしたので、若鮎3尾の塩焼きをお願いしました。写真のように、見ただけでも美味しそうな焼き上がりです。タコはたまらず頭からガブリといただきました。香ばしくて、塩味が好きなタコにも程よくて、思わず「あ~、うまいな~!」と言葉にでてしまいました。3尾頭から尾まですべていただき、付いてきた「鮎雑炊」、これがまた鮎の香りがほんのり、さらとろりとして何とも旨いのです。きけば今の若鮎の時期までは昨年の親鮎を保存しておいて、その親鮎からとったダシが美味しいのでそれを使うそうです。そうするとコクのある雑炊ができるのだそうです。これもすばらしい。さらにフルーツをいただいて、十分に満足。ランチの鮎塩焼き定食2100円。次は、夏過ぎたら親鮎をいただきに行くのが楽しみです。

● 岐阜中日文化センター: http://www.chunichi-culture.com/gifu/
ご興味のある方は、上記ウェブサイトの講座分類の中から「歴史・教養・文学」をクリックし、「たのしい古美術・骨董入門」をご参照ください。

● うお惚(うおそう): http://uosou.net/
住所 〒500-8082 岐阜県岐阜市矢島町1-3
電話 058-262-1875
営業時間 昼(ランチ)  AM11:30~PM2:00 夜 PM5:00~PM9:00定休日 第2 / 第4 / 第5 水曜日
ランチも電話で予約が必要です。 

2012年7月5日木曜日

タコのオーディオ・システム BACHから木村好夫まで



 タコのオーディオ熱については以前書かせていただきましたが、オーディオにかける金額にはキリがありません。聞くところによると8000万円というオーディオセットがあるそうで、それだけお金をかけるなら、素晴らしい本当の演奏会の一番前の席で何百回でも聴けるだろうにと思うのです。その方が本当の音であるわけです。再生装置だけの方向に向かうということは、録音した音が、どれだけ原音に近くなるか、という追求をということなのでしょう。しかしそれは音楽を愛するという方向からはやや外れてゆくのではないかと思います。どう考えても実際のオーケストラや器楽、ピアノの音にはかないません。ただ物故された演奏家の作品をオーディオで再生するという点ではこのオーデオ装置は大変ありがたいのです。それにはせいぜい数十万円、多くても100万くらいで十分かと思います。
 特にオーディオの世界ではかつてこう言われていました。「音の入るところと、出るところに金をかけろ」と。タコもこの言葉にならってレコードのカートリッジとプレーヤー、CDプレーヤー、そして出るところのスピーカーに力を入れました。特にカートリッジ。オルトフォンMC-20とZYXを使っています 。とりわけZYXは精巧な手作りで、かつてのオルトホンでMC-20を開発した日本人技術者による手作りの卓越したカートリッジです。すごくしっかりした音を出してくれます。そして最後に真ん中の部分、すなはちプリメインアンプに真空管アンプを導入することができたのです。古山さんのおかげです。



 ここに掲載したアンプは、以前にこのブログでご紹介したFAL SUPREME-S というすばらしい世界初のフラットスピーカーを独自に開発し、販売している「オーディオおじさん」こと古山磐夫さんから購入したAUDIO SPACEのAS6i です。タコが高校生のとき、中野の北口商店街の真ん中にあった、文化堂というレコード店がラックスの真空管アンプを使って鳴らしているのを聴いて、是非ああいういい音のアンプを使ってみたいものだと夢にみたものです。真空管の、なんとも優しいほのかなオレンジ色の光・・・ しかし真空管アンプは当時の小遣いではとても手のでない代物でした。
 真空管アンプの良さは、髙音域がのびやかで、艶やがあり、バランスが良いところ。特にピアノ、バイオリンのCD、レコードにいいです。古山さんとはスピーカーを入れていただいてからのご縁で、彼のお店でデモ用に使っていたタコ憧れの真空管アンプを最近安く譲っていただけるチャンスに恵まれました。いつもデモで聴いていましたので、音質は迫力があると同時にまろやかな音で満足でした。
 自宅に機材を搬入してセッテイングを終えると、古山さん自身がアソートした様々なジャンルの音楽を入れたデモンストレーション用のCDをかけてチェックします。その選択は、ちょっと懐かしい曲が多いのですが、とても良い音なので、つい聞き入ってしまいます。古山さんもその音色を確かめながら、「イイねぇ~っ!」と満足げにうなります。古山さんの年齢からすると、たぶんクレイジー・ケン・バンドのケンさんより前からこの「イイねぇ~っ」は口癖だったと思います。

 タコの家はマンションですから、あまり大きなスピーカーは必要ありません。オーディオおじさんの発明した世界初のフラットスピーカー FAL SUPREME-S に大満足です。驚くほどナチュラルで歯切れがいい音。ボリュームを上げても音割れしないのです。とくにこのスピーカーでフランス人ピアニスト、フランソワによるショパンのノクターンとベネディッテイ・ミケランジェリのピアノでベートーヴェンのピアノ・コンチエルト5番「皇帝」を聴くのがタコの最大の楽しみです。スピーカーで聴いていて終わると拍手したくなるほど臨場感のあるいい音です。ほれぼれとします。マニアはブランドで買わないで、虚心に音質を確かめて購入して欲しいと思います。このスピーカーはクラッシックから演歌まで何でもOKです。木村好夫のギターも最高、美空ひばりもこんなにいい歌声なんだと再認識。音楽のイメージがまったく変わります。
 先日タカノのフルーツについて書きましたが、その折にディスク・ユニオンで買ったレコード、シベリウスのヴァイオリン協奏曲もこのスピーカーを通すと、大好きなオイストラフのヴァイオリンが本当にすばらしい。冒頭部分を聴いていると、まさに太陽の光のとぼしい北欧の白夜のフィヨルドを航行しているイメージが彷彿としてくるのです。

DATA
プレーヤー    THORENS TD-226 ELECTORONIC ・ DOUBLE ARMS
カートリッジ    ZYX  ・ ORTPHONE MC-20 
アーム       SME  ・ THORENS 
プリメインアンプ AUDIO SPACE AS6i
スピーカー     FAL SUPREME-S