タコのオーディオ熱については以前書かせていただきましたが、オーディオにかける金額にはキリがありません。聞くところによると8000万円というオーディオセットがあるそうで、それだけお金をかけるなら、素晴らしい本当の演奏会の一番前の席で何百回でも聴けるだろうにと思うのです。その方が本当の音であるわけです。再生装置だけの方向に向かうということは、録音した音が、どれだけ原音に近くなるか、という追求をということなのでしょう。しかしそれは音楽を愛するという方向からはやや外れてゆくのではないかと思います。どう考えても実際のオーケストラや器楽、ピアノの音にはかないません。ただ物故された演奏家の作品をオーディオで再生するという点ではこのオーデオ装置は大変ありがたいのです。それにはせいぜい数十万円、多くても100万くらいで十分かと思います。
特にオーディオの世界ではかつてこう言われていました。「音の入るところと、出るところに金をかけろ」と。タコもこの言葉にならってレコードのカートリッジとプレーヤー、CDプレーヤー、そして出るところのスピーカーに力を入れました。特にカートリッジ。オルトフォンMC-20とZYXを使っています 。とりわけZYXは精巧な手作りで、かつてのオルトホンでMC-20を開発した日本人技術者による手作りの卓越したカートリッジです。すごくしっかりした音を出してくれます。そして最後に真ん中の部分、すなはちプリメインアンプに真空管アンプを導入することができたのです。古山さんのおかげです。
ここに掲載したアンプは、以前にこのブログでご紹介したFAL SUPREME-S というすばらしい世界初のフラットスピーカーを独自に開発し、販売している「オーディオおじさん」こと古山磐夫さんから購入したAUDIO SPACEのAS6i です。タコが高校生のとき、中野の北口商店街の真ん中にあった、文化堂というレコード店がラックスの真空管アンプを使って鳴らしているのを聴いて、是非ああいういい音のアンプを使ってみたいものだと夢にみたものです。真空管の、なんとも優しいほのかなオレンジ色の光・・・ しかし真空管アンプは当時の小遣いではとても手のでない代物でした。
真空管アンプの良さは、髙音域がのびやかで、艶やがあり、バランスが良いところ。特にピアノ、バイオリンのCD、レコードにいいです。古山さんとはスピーカーを入れていただいてからのご縁で、彼のお店でデモ用に使っていたタコ憧れの真空管アンプを最近安く譲っていただけるチャンスに恵まれました。いつもデモで聴いていましたので、音質は迫力があると同時にまろやかな音で満足でした。自宅に機材を搬入してセッテイングを終えると、古山さん自身がアソートした様々なジャンルの音楽を入れたデモンストレーション用のCDをかけてチェックします。その選択は、ちょっと懐かしい曲が多いのですが、とても良い音なので、つい聞き入ってしまいます。古山さんもその音色を確かめながら、「イイねぇ~っ!」と満足げにうなります。古山さんの年齢からすると、たぶんクレイジー・ケン・バンドのケンさんより前からこの「イイねぇ~っ」は口癖だったと思います。
タコの家はマンションですから、あまり大きなスピーカーは必要ありません。オーディオおじさんの発明した世界初のフラットスピーカー FAL SUPREME-S に大満足です。驚くほどナチュラルで歯切れがいい音。ボリュームを上げても音割れしないのです。とくにこのスピーカーでフランス人ピアニスト、フランソワによるショパンのノクターンとベネディッテイ・ミケランジェリのピアノでベートーヴェンのピアノ・コンチエルト5番「皇帝」を聴くのがタコの最大の楽しみです。スピーカーで聴いていて終わると拍手したくなるほど臨場感のあるいい音です。ほれぼれとします。マニアはブランドで買わないで、虚心に音質を確かめて購入して欲しいと思います。このスピーカーはクラッシックから演歌まで何でもOKです。木村好夫のギターも最高、美空ひばりもこんなにいい歌声なんだと再認識。音楽のイメージがまったく変わります。
先日タカノのフルーツについて書きましたが、その折にディスク・ユニオンで買ったレコード、シベリウスのヴァイオリン協奏曲もこのスピーカーを通すと、大好きなオイストラフのヴァイオリンが本当にすばらしい。冒頭部分を聴いていると、まさに太陽の光のとぼしい北欧の白夜のフィヨルドを航行しているイメージが彷彿としてくるのです。
DATA
プレーヤー THORENS TD-226 ELECTORONIC ・ DOUBLE ARMS
カートリッジ ZYX ・ ORTPHONE MC-20
アーム SME ・ THORENS
プリメインアンプ AUDIO SPACE AS6i
スピーカー FAL SUPREME-S
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