2012年6月6日水曜日

タコの骨壺 加山雄三さんの「アトリエde加山」


 タコは昨日6月5日のBSフジテレビの番組「アトリエde加山」陶芸特集に出演しました。加山雄三さんと言えば、ヨットのイメージがありますが、多趣味でいらして、この番組では「エレキ」、「鉄道模型」など、毎回異なる分野にフォーカスを当てているようです。加山さんを中心に、色々なマニアやコレクターの方も登場して、様々な趣味の世界を楽しく紹介しています。タコが出演した回は、「現代陶芸」がテーマでした。陶芸ブームの興りについて解説するように、との依頼でしたので、段階を分けてお話ししました。

 1930年からはじまる陶芸ブーム。そのさきがけは荒川豊蔵による志野を中心とした美濃陶の発見でした。発掘ブームという方がぴったりかもしれませんが、全国から古陶磁器マニアが押し寄せて一大ブームが起きました。やきものの再認識がなされたと言えます。その後、永仁の壺贋作事件が世を騒がせました。これは鎌倉時代の永仁年間(1292~1298)の制作であることが壺に彫られた、貴重な作品ということで「重要文化財」に指定されました。ところがその後、その壺(正確には瓶子)は贋作であるということが判明して、作った人間と、重要文化財に指定したことをめぐって大きなスキャンダル問題に発展しました。ここで一番のポイントは専門家をも欺いて、美術品の一ジャンルである古陶磁器とされるくほどの、しかも重要文化財に指定されるほどの陶芸の技術が現代にもあるんだという、いわば驚きと技量への再認識がなされたわけです。そこでひとつのブームになった。その後、高度成長時代のインフレ経済とバブル経済のもとで、いわば不動産や株式投資と同じように、有名な作家の焼きものを買い占める投機が行われました。その高騰はあまり有名でない陶芸家の作品にまで及びました。その結果としてのバブル崩壊。そして団塊の世代がリタイアした現在、新たな趣味として最適となったのが現在の「陶芸」ブームの流れです。元首相の細川護煕さんが陶芸に打ち込んでいることも、そうした流れを大きくしたかも知れません。 一応そんな話をしまして、最後に出したのが、自分用につくった骨壺です。平成11年に作ったことが蓋の裏に書かれておりますから、今からほぼ13年前になります。

 タコが学院長をしている日本骨董学院ではそのころ陶芸教室も開催していました。知人の陶芸家に講師として来てもらい、みなさんを指導してもらいました。いくつか壺とか小物を作っていると、何か大きなものにチャレンジしてみたいと思うようになり、自分の骨壺を作ろうという発想になりました。人間はいつ死ぬかわからないということもあったと思います。ただ一般的に売られている、ホーローの白い冷たい骨壺にだけは入りたくないなぁと思っていました。
 そこでいろいろデザインを考えました。真ん中には阿弥陀如来のシンボルであるキリークという梵字を入れ、周辺には般若心経を全文彫り込むことにしました。
一日かかって壺自体を作り、心を込めて経文を彫り込むのにもまた一日。乾燥させ、登り窯を持つ知人の陶芸家に渡しました。
 そうして待つこと3週間、やっとできてきました。信楽の土と赤松の薪による登り窯で焼成したので、ほぼ考えた通りに、ちょうどいい感じにできあがりました。


BSフジ「アトリエde加山」 : http://www.bsfuji.tv/top/pub/atelier.html
日本骨董学院公式サイト: http://www.kottou-gakuin.com/

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