2013年1月8日火曜日

佐藤 晃 & 富平 園子 二人展を観て 

 
 彫刻家の佐藤 晃さんから陶芸家で奥様の富平 園子さんと、展覧会開催(1月5日から19日まで)のお知らせをいただきました。会場のGALLERY KINGYO(東京都文京区千駄木2-49-10 電話050-7573-7890)は、私の好きな谷中に近い下町の奥まった一角にあります。さっそく訪れると、佐藤晃さんが笑顔で出迎えてくれました。(写真は佐藤さんと作品)  

  彫刻・石彫は好きです。僕はエジプトからギリシャ、ローマ、そして先日もバンベルグの騎士像やナウムブルク・ドームのウタとエッケハルト像を見にドイツまで行ったくらいですから、良いものでしたらどこまででも観に行きたいと思っています。ただ素材が重いので、コレクションの対象としては無理なところがあり、現在はガンダーラの小彫刻程度で我慢しています。  



 今回の佐藤さんの石彫刻はかなり大きな作品で、独特の趣、というか雰囲気を持っています。石の抽象作品としては珍しく、非常に親しみやすいです。観た瞬間に僕が作品から受けた印象は、古生代の生物、特にウミユリです。海にゆらゆらと触手を動かして餌をとるウミユリは実は植物ではなく動物なのです。地球上に最も早い時期、2億5000万年前の世界に発生した動物で、ヒトデなどによく似た生物です。僕はウミユリの化石を持っていて、観るたびにその美しさに引き込まれます。それと同種の雰囲気を佐藤さんの彫刻に観たのです。(写真)
 抽象芸術は観た者側の想像力や感性に評価がゆだねられるという特質があります。評価するというとおこがましいのですが、自分にピッタリの感覚であるか、どうかです。その良い見本が京都の「竜安寺石庭」です。あの石の並びをどう観るか、そこに何を想うか、観る側の感性で、感じ方もかわります。それが禅宗的世界観ともいえます。ですからどのように感じるか、それは観る側次第ということになります。  


 佐藤さんの作品には、その魅力的な人柄が表れています。石でありながらどこかに柔らかさを持っており、親しみやすさ、生命力を感じさせるのです。佐藤さんの作品は東京都立総合芸術高等学校の中庭に展示されるという栄誉を受け、芸術家を目指す若い高校生の皆さんが、毎日彼の作品を観て、そこから刺激と創造の力を得ているようです。


雨引きの里と彫刻

東京都立総合芸術高等学校
佐藤 晃さんの略歴:  
1964年生まれ 日本大学芸術学部美術学科彫刻コース卒業
 同 芸術研究所彫刻専攻修了後、多くの展覧会に出品。

  在学中から数多くの個展、美術館主催の展覧会、国立博物館柳瀬荘のアート・教育プロジェクトなどにも出品され、その活躍の場を広げています。特に僕は栃木県益子に近い「雨引きの里での彫刻展示」に着目しています。ここでは大自然の中に作品を展示するので、その真価が問われます。大自然に堂々と対峙できるか、溶け込むか・・・いずれにしても中途半端であったり、ふざけた作品は大自然を背景にして立ち続け得ないものと思います。歴史を経た古い民家を借景にしても佐藤さんの石の作品は不思議に合うし、学校の中庭にも合う。それは作品そのものに、進化し続ける生命の力があるからだと思います。

雨引きの里と彫刻

ポラリス ジ・アートステージ
  地球の遥かな時が創り出した石、その石を掘り出して、そこに自分の時を刻む。そしてまたそこから永遠の時がはじまる。石の彫刻って素晴らしいなァ~、大きな家があったら、佐藤さんのこの作品を毎日見ながら暮らせたらいいだろうなァとつくずく思いました。
 ぜひこれから注目していただきたい彫刻家です。

 奥様の富平園子さんも愛らしい陶芸作品をショーケース出品されています。日常的に使える女性らしい、やさしい感性の作品で、ぐい飲みから皿、鉢類までの手軽に使える作品です。 園子さんは子供が大好きで、井の頭公園近くの自宅で陶芸教室を開いています。小さな子供から大人までたくさん通っています。



 お母さんと2代にわたり個性を大切にする私立明星学園で学んだ園子さんは、その後、ご主人と同じ日本大学芸術学部美術学科彫刻コースに進学。そして現在はまさに多くの子供たちの個性を引き出す焼き物教室を実践されているのです。園子さんは自分が受け継いできた人間としての永遠性、すなはち個性という永遠性を、いま一人一人の子供に植えつけているのです。それはいつか子供たちの心に大きく花開き、また次の世代に引き継がれて行くことでしょう。
  芸術家一家であるお二人のこれからのますますのご活躍を期待しつつ、新年最初の展覧会を拝見いたしました。  

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