2012年5月1日火曜日

「さらしな蕎麦」

中野は今、賑やかな街に変貌しつつあります。ブロードウェイができた昭和40年頃から中野は少しづつ変化してきて、特に「まんだらけ」が若者たちを引きつけるきっかけになったと思います。マンガ本、アニメ、マンガやアニメの原画、おもちゃ、フィギュアーやCD、そしてロレックスなどの高級時計などのアイテムとそれにともなう若者グッズが軒を連ねています。上野やアメ横などより衣料品や飲食が安くて美味いということから、外人たちの人気スポットになりつつあるところに、今度は警察病院が飯田橋から移転、それにともなう薬剤師さんのお店がたくさんできたり、人通りが非常に多くなりました。そうしたら今度は大学誘致で、2013年には早稲田大学、明治大学、帝京大学の3校の学部移転がなされることになり、一大学園都市の出現へと、めまぐるしく変貌しています。もともと将軍綱吉によるお犬様で何万匹かの犬を飼っていたのが中野のはじまりで、昔は「囲(かこい)町」という町名でした。その後その場所に日本陸軍の特務機関、すなわちスパイ養成学校で有名は「陸軍中野学校」となり、戦後に警察学校に発展しました。タコは子供の頃、仲間とこの学校の運動場に忍び込んでゴム動力の模型飛行機を飛ばして遊んでいて、巡回の守衛さんに追いかけられたものでした。その土地に一大学園プロジェクト出現となったのです。


さらしな本店で50年以上の歴史を誇る「信太うどん」 830円

 さておいしいもののお店ガイドがそれてしまいました。タコは生まれも育ちも、今の住まいも職場も中野なので、その移り変わりをずっと見てきました。そんな中で、タコがはじめて美味に出会ったお店が今も健在なのは嬉しい事です。今回は、そのお店をご紹介します。JR中野駅の南口、ロータリーの向側にUFJ東京三菱銀行があります。その左側の道を50メートル入ると右手に「さらしな」蕎麦店があります。このあたりではお菓子の「不二家」と並んで一番古い店のひとつです。目立たない店ですが、名店です。小学校4年頃、当時住んでいたアパートから歩いて一分のこの店に、母に連れて来られました。蕎麦は子供に向かないと思ったのか、母は関西系の温かい薄味うどん「信太(しのだ)うどん」をたのんでくれました。「オイシイーー!」。

本店のかわいい店構え
母の作る家庭料理とはまた違った味に子供のタコは感激。以来、何度かこの店に連れてきてもらった思い出があります。その時から50年以上経ちましたが、この店は健在です。今は本店となり、やはり中野駅の北口、サンモール商店街のブロードウエイ手前のエクセルシオールの角を右に曲がった少し先に支店「さらしな」が、本店より大きなお店としてあります。日本骨董学院からはこちらの支店が近いのですが、今日ご紹介する「信太うどん」は本店にしかないのです。昔からの店の歴史そのもののこの「信太うどん」をきちんと用意してくれているこの本店に感謝です。
  もちろん、ここは蕎麦も全て美味しいので、遠くから「通」が食べに来ます。蕎麦通を自称する骨董関係の知り合いから、「君の近くにおいしい蕎麦屋があるの、知ってる?」と訊かれたこともあります。つい正直に「ああ、あそこは支店で、本店もいいよ」などと言ってしまい、がっかりさせてしまいました。(笑)

 本店でも支店でも、手打ちの二八蕎麦やつなぎの入らない荒めの田舎蕎麦、さらしな蕎麦、蕎麦がき、地獄そば、鴨南そばなどは実に美味しい。特にこれからの暑いときには冷たい「おろし蕎麦」がいい。値段も手頃です。蕎麦は昔からもともと農民の非常食という歴史がありますから、タコは値段が異常なくらい高い蕎麦屋を異常に毛嫌いしており、絶対に高い蕎麦屋には近づきません。たっぷり、たくさんお汁をつけて食べたい。(「通」は香りを重視するために、粹に汁をちょっとつけるという。香りを重視するなら汁はつけなければいいというのがタコの持論)。落語では「そば通」が死ぬときに「あー、一度汁をたっぷりつけて食べたかった」といって死んだとか。そんなもんです。食べ方は自由、「通」ぶってズルズルと大きな音を立てて蕎麦を食べることも好きではありません。のど越しの美味しさがその音に出るといいますが、私はあの音は好きにはなれません。しかしあまり静かにも食べたくない(笑)。最近は塩をまぶしていただく蕎麦も美味しいなぁと思います。安くておいしい蕎麦をマイペースで好きなようにたくさん食べたいだけのタコです。



他に、地獄そば(950円)、しっぽくうどん( 980円)等々・・・豪華なメニューで2000円未満です。

本店電話03-3380-4828 支店03-3389-4218

日本骨董学院 http://www.kottou-gakuin.com/

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