2012年5月4日金曜日

5月の節句 兜 加藤清正


  先日、ある骨董市を歩いていたら、苗代川焼きの四角い植木鉢がありました。めずらしいなと思って購入してきました。苗代川焼は、鹿児島県・日置市(旧東来町)のやきもので、その歴史は、慶長4年まで遡れます。2002年に同じく鹿児島県の堅野系、龍門司系と共に苗代川系も国の伝統工芸品に指定され、「薩摩焼」と総称されるようになりました。これは、いわゆる「黒もん」、大衆向け雑器ですが、黒鉄釉が花を引き立ててくれます。八重咲きのカシワバアジサイ(柏葉紫陽花Hydrangea Quercifolia/Oakleaf Hydrangea)を植えてみると、なかなかいい具合です。柏といえば五月五日のこどもの日の「柏餅」を思い浮かべます。日本骨董学院では毎年、季節の骨董・古美術を教室に出して飾るようにしており、今年のおひな様のときは江戸時代の享保雛を飾りました。

 例年、五月五日には「兜」を飾っています。本多家伝来の頭形兜(桃山時代・本多家の家紋入る。写真下・面頬は江戸時代のもの)や忍城の重役の家に伝来した厚めの鉄兜をタコは気に入ってます。戦国時代の兜だけに厚くて一見、無骨な才賀兜によく似ています。面頬も古いものが付属しており、飾るとなかなか凄味がある甲冑です。金箔の貼られた兎の耳の脇立てが付属しています。これを付けますとやや華やいだ感じになりますが、これは江戸前期の流行によるものと考えられますが、タコは別に「百足(むかで)」の前立てを持っていて、これを付けるとなかなか迫力があるので、来年のこの兜には「百足」の前立てを付けて出してみようかと思っています。「百足」はどんなときも退くことをしないといわれ、それが勇猛な武将の心意気をあらわすことにつながり、図柄として戦国武将に愛好されたものと思われます。刀の外装に鐔や小柄、笄、目貫、縁頭がありますが、これらにも「百足」の図があります。
 
 また五月の節句といいますと、鍾馗様が一般的ですが、絵でおもしろいのは加藤清正の武者絵です。これも五月の節句にはふさわしい絵柄だと思います。加藤清正は秀吉の文禄・慶長の役で朝鮮に出兵して虎退治をしたということで有名ですが、彼は熱烈な法華経信者で、従って日蓮宗に帰依していました。ですから彼独特の鎗を持ち、日蓮宗の題目「南無妙法蓮華経」の旗印を背にしている場合は加藤清正像なのです。(写真下のバックの絵)清正の兜は「烏帽子兜」が特徴です。










日本骨董学院 http://www.kottou-gakuin.com/

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