例年、五月五日には「兜」を飾っています。本多家伝来の頭形兜(桃山時代・本多家の家紋入る。写真下・面頬は江戸時代のもの)や忍城の重役の家に伝来した厚めの鉄兜をタコは気に入ってます。戦国時代の兜だけに厚くて一見、無骨な才賀兜によく似ています。面頬も古いものが付属しており、飾るとなかなか凄味がある甲冑です。金箔の貼られた兎の耳の脇立てが付属しています。これを付けますとやや華やいだ感じになりますが、これは江戸前期の流行によるものと考えられますが、タコは別に「百足(むかで)」の前立てを持っていて、これを付けるとなかなか迫力があるので、来年のこの兜には「百足」の前立てを付けて出してみようかと思っています。「百足」はどんなときも退くことをしないといわれ、それが勇猛な武将の心意気をあらわすことにつながり、図柄として戦国武将に愛好されたものと思われます。刀の外装に鐔や小柄、笄、目貫、縁頭がありますが、これらにも「百足」の図があります。
また五月の節句といいますと、鍾馗様が一般的ですが、絵でおもしろいのは加藤清正の武者絵です。これも五月の節句にはふさわしい絵柄だと思います。加藤清正は秀吉の文禄・慶長の役で朝鮮に出兵して虎退治をしたということで有名ですが、彼は熱烈な法華経信者で、従って日蓮宗に帰依していました。ですから彼独特の鎗を持ち、日蓮宗の題目「南無妙法蓮華経」の旗印を背にしている場合は加藤清正像なのです。(写真下のバックの絵)清正の兜は「烏帽子兜」が特徴です。
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