2013年1月2日水曜日

ベルリン(Berlin)の風景

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。  朝から晴れ渡った気持ちの良い元旦です。タコの正月は、伝統にはこだわりませんが、それでもお雑煮は外せません。関東風のシンプルな鶏のお雑煮があれば、満足です。ヨーロッパから帰国してからは、ほとんど休む間もなく仕事をする日々でしたので、正月休みは貴重です。


Spree川に浮かぶポンポン船

 ベルリンでのんびり朝の散歩を楽しんだ日々が早くも懐かしいです。ベルリン中心部の便利なエリア、アレクサンダープラーツAlexanderplatzにホテルをとりましたが、そのすぐそばにニコライフィヤテルNikolaiviertelがあります。vierはドイツ語の4ですから、viertelは英語で言うクォーターquarter、つまりニコライ地区です。ベルリンで一番古い、1230年建造のニコライ教会周辺には中世以来の小道が何世紀にも渡りそのまま残っていたそうです。しかし、第二次世界大戦の爆撃で破壊され、1987年のベルリン誕生750年祭式典に合わせて、東ドイツ政府が再開発したそうです。歴史的な建築様式とともに、コンクリのブロックを使ったお手軽な建築も取り混ぜた結果が、独特な街並みになったようです。現在は、お洒落なお店や伝統的ドイツ料理を食べさせるレストランやカフェが軒を連ねています。歩いて数分しか離れていないアレクサンダープラーツとはかなり対照的な雰囲気です。とてもいいところです。シュプリー川Spreeの東岸にあり、遊覧船の様々なツアーの出発点になっています。もう少し温かい季節だったら、タコも小舟に揺られて川からベルリンを楽しみたいところでした。

Alexanderplatz駅の線路下 最近は世界中こんな落書きが多くて困ります。
 


ベルリン市庁舎前のネプチューンの噴水・Neptunbrunnen

 1891年にベルリン市から王宮に送られたというこの噴水・ネプチューンブルネンが皇帝の寝室にあった当時、皇后が不快感を持ち、向きを180度変えさせたそうです。ネプチューンを囲んで配置されている四体の女性像に原因でもあったのでしょうか?銅像に嫉妬するなんて大変な皇后ですね(笑)それぞれ、プロシアに流れるエルベ川、ライン川、ヴィスワ川、オーデル川を象徴しているそうです。どの女性がどの川/ブルネンなのか、タコにはわかりませんでしたが、ネプチューンより「川」をメインに撮影してしまいました。その後、王宮が破壊されると撤去され、修復されて1969年に現在のアレクサンダー広場に移されたそうです。
 
テディーベアの店の前で、雨に濡れた熊さん達 可愛いというにはビミョー(笑)

 Ostpaketというお店が面白かったです。一見ただのコンビニ風ですが、東ドイツや、東欧の元共産圏で作られた製品を売るお店のチェーン店です。Ostは東、paketは小包です。ドイツ民主共和国時代、東側の人々は、西側の親戚から煙草やコーヒー、お酒などの小包を送ってもらうのを楽しみにしていたそうです。しかし、ベルリンの壁が取り壊されて資本主義に組み込まれてみると、添加物や過大広告で嵩増しされた商品より、質実剛健な旧東ドイツの頃の商品の方が、効き目があったり、安全だったり、美味しかったんじゃなかろうか?なんか、違うよね・・・と昔を懐かしむ人々も多くなり、こんなお店ができたらしいです。それだけの需要があるということです。旧東ドイツの人々が西ドイツに対して感じているという経済格差からくる劣等感とか、消えつつあるものへの郷愁もあって、西側とは異なる歴史を生きてきた人々のアイデンティティーがそこにあるようです。旧東ドイツ時代の信号機(ampel)に使われていたキャラクター、アンペルマンを使ったグッズや、蚤の市で昔のカップなどに人気があるのもこうした背景があるからでしょう。ここOstpaketでは面白い本を買いました。「111Gruende Berlin zu lieben」(ベルリンを愛する111の理由とでも訳しますか)ベルリンっ子の気質を知るにはおもしろそうですので、この店で買いました。

食品からトイレタリーまで何でも揃う東ドイツ製品専門店Ostpaket
 
そのままツエッペリン飛行船に乗れそうなトラッド・ファッション
 
インパクトのあるビッグなアクセサリー ゴツイです
 
懐古調のデザインで統一したインテリアのお店
 
 
ニコライ地区はお洒落ではありますが、そこはやはりベルリン、どこか退廃的というかちょっぴり世紀末的雰囲気をたたえ、重苦しくてアンニュイな感じがウィンドウ・ディスプレーにも表れています。この首からショルダーバッグをぶら下げたマネキンは天使の羽をつけています・・・ベルリンと天使とくれば、ヴィム・ヴェンダース監督の「ベルリン・天使の歌Der Himmel uber Berlin」(1987)が有名ですから、そのイメージなのかな、と思ったり。でもタコはむしろ「愛の嵐 The Night Porter」のシャーロット・ランプリングを連想しました。1973年のイタリア映画です。彼女は、少女時代に強制収容所でナチの将校に弄ばれた過去を背負ったユダヤ人女性を演じています。生き延びて成長した彼女は、戦後夫と訪れたウィーンのホテルで、身元をごまかしてポーターとして生活しているその元将校と再会してしまう、という複雑な愛憎が倒錯するストーリーです。そこから、強制収容所時代の回想が入り組んで、将校達のパーティーの場面でのパーフォーマンスは、シャーロット・ランプリングを世界的に有名にしました。アメリカやイギリスなら、クレームが付きそうなディスプレー。このテイストはベルリンならではのデカダンスだと思います。こんな風に、すこしレトロでほの暗いベルリンの街が、タコは大好きです。

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