2012年9月11日火曜日

最高の担担麺

麹町「登龍」の担担麺

 僕の食べ物における趣味では、値段が高いからうまいだろうという注文の仕方はありません。安くて美味い店を探すということも正直、無理だと思っています。なぜなら、美味しい味を出す新鮮な食材は安くは手に入りにくい物だからです。それに腕のいい料理人は高額な給料をとるからです。まあ高くもなく、安くもないというところにずば抜けておいしい店を発見するのが僕の楽しみなのです。

 今回は四谷に近い麹町4丁目交差点ほぼ角にある中華四川料理「登龍」の担担麺をご紹介します。僕と「登龍」の出会いは社会人になりたての昭和48年にさかのぼります。そこにはもともと「ロメオ」という喫茶店があり、よく利用していましたが、あるとき急に「登龍」にかわったのです。実はその隣に最初に勤めた会社がありました。その会社の社長にご馳走してもらったのが登龍の「担担麺」との出会いの最初です。最初はやや辛い中華ソバだなと思っていたら、次第にそのコクのある味が忘れられなくなって、隣ということもあって足しげく通いました。今でも盛んに通っていますから、もうかれこれ足かけ40年通っていることになります。以前このブログで中野の「さらしな蕎麦」店について書きましたが、それに次いで僕にとって大切な思いで深い古い店なのです。しかも驚くべきことに、その時から味は少しも変わっていませんから、もう驚異といえます。

 栄枯盛衰は世の常ですが、美味しいと思っていた店の味が急に落ちたり、サービスが悪くなったり、利益中心主義に落ちたりということが最近は頻繁で、うかうかブログにも推薦文を書けません。でも、この登龍はいつ行っても、本当に味の変わらない店で、安心して皆様にご紹介できるお店です。隅々まで掃除の行き届いた店内、ランチタイムでもシミ一つない糊のきいたクロスがかけられたテーブル、その上の一輪挿しには、フレッシュな薔薇。きれいに髪をとかしつけた黒服のスタッフは、素晴らしい間合いで俊敏にテーブルを廻る間も笑みを絶やしません。これぞプロです。いわゆる要人も来店するようですが、どの客にも温かく行き届いたサービスを提供する姿勢は、変わらぬ美味しさとともに一流の証です。

 登龍では、他のメニューも抜群の味ですが、やや高額です。しかし美味しいものはどうしてもちょっと高いのです。担担麺はランチ時だと通常の1800円が1000円で食べられるので、大人気です。すごい混雑ですが11時15分開店なので、12時前ならすいていてまったく問題ありません。

 僕は担担麺の美味しさをここで初めて体験しましたから、ほかに美味しい担担麺がないかといろいろ探しては味見してますが、登龍にかなう味の担担麺には今のところ出会いません。

 この美しいこってりスープをレンゲですくうと、それだけで素晴らしいゴマの香りが口に広がります。口に入れる前からも食欲が倍増するほど美味しそうな香りです。スープがほどよい太さのちじれ麺によくからみ、うま辛みとゴマの風味とひき肉のだし、ほうれん草が絶妙なバランスで完璧な味を作り出しています。これだけ濃厚なのに、くどさは全くなく、最後まで飽きずに一気にいただけます。

 我こそは担担麺ファンと自称している方はぜひ一度食べてみてください。これに勝る担担麺があったらぜひ教えてください。試食に行ってみたいと思います。でもないと思いますが・・・



登龍 麹町店: 地下鉄有楽町線「麹町」駅から徒歩1分
http://www.tohryu.co.jp/

 
 
 
 
 

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